AGE(終末糖化産物)が及ぼす影響

タンパク質は人間の体内のいたるところに存在するため、どの臓器を構成するタンパク質がAGE化(糖化)するかによって、さまざまな病気の引き金になります。

メタボリックシンドロームの悪循環

内臓型肥満で、かつ高血圧、高血糖、脂質異常症のうちの2つが当てはまる状態をメタボリックシンドローム、いわゆるメタボと呼びます。AGEはメタボの早い時期から体の中でつくられると考えられています。
AGEは内臓脂肪を悪玉化させ、血糖値を上昇させます。そして血糖値が上昇すれば、AGEはそれだけ体内で多く発生する、という悪循環が生まれます。

肌は弾力が失われ、シワやたるみが

肌のハリややわらかさを保っているのはコラーゲンなどのタンパク質です。肌のコラーゲンは加齢により、長い歳月をかけてじわじわと体温で加熱されていきます。そうすることでAGE化(糖化)が進み、太陽の紫外線も影響し、コラーゲンが変質すると弾力性を失いシワやたるみが出てきてしまいます。
またAGEは褐色のため、AGE化(糖化)が進むと、シワやたるみだけでなく、シミやくすみも発生してしまうのです。

血管が硬くなり、動脈硬化を起こす

コラーゲンは血管の内側の内皮細胞と外側の平滑筋細胞の間にも存在し、クッションのような役割を果たしています。このコラーゲンがAGE化(糖化)すると血管の弾力が失われ厚く硬くなり、また血栓をつくりやすくし、全身の血管で動脈硬化を起こします。
動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞など深刻な病気に至ることもあります。 

骨をもろくし、骨粗しょう症を起こす

コラーゲンは骨にも多く存在しています。骨のコラーゲンがAGE化(糖化)すると骨の強度が下がり、骨粗しょう症になります。
またAGEによって破壊された骨はカルシウムとして血の中に溶け出し、血管の中で石灰化し、動脈硬化のリスクにもなります。

目の水晶体をにごらせ、白内障を起こす

黒目の奥で光を調節するレンズの役割を果たしている水晶体は、クリスタリンというタンパク質でできています。クリスタリンがAGE化(糖化)すると、紫外線による酸化とあいまって水晶体が白く濁り、白内障を起こします。
28日サイクルでターンオーバーする肌のコラーゲンや2~10年周期で入れ替わる骨のコラーゲンとは違い、クリスタリンは一生、新陳代謝されないタンパク質。それだけに、時間の経過とともにAGEが蓄積していきます。

脳内のタンパク質を変質させ、アルツハイマーを引き起こす

脳内のタンパク質がAGE化(糖化)すると、その中にβアミロイドというタンパク質に変質するものが出てきます。立体構造に変質したβアミロイドは組織に沈着しやすく、老人班と呼ばれる班点をつくります。この班点が広がると神経細胞を死滅させ、アルツハイマー型の認知症を引き起こします。

糖尿病では全身に合併症を起こす可能性が

糖尿病患者さんは、高血糖状態が続いているためAGEが大量に蓄積されています。糖尿病の診断基準に用いられる「ヘモグロビンA1c」も実は、赤血球のタンパク質であるヘモグロビンが糖化してAGEに変化する一歩手前の中間糖化物質です。
そしてAGEは糖尿病の3大合併症と呼ばれる神経障害、網膜症、腎不全などにも悪影響を及ぼします。